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薬膳スープ「四物湯」を作ってみた


こんにちは


心とカラダを整える

ハーバルセラピストのたかこです。


今日は


女子にありがちな

生理痛などに処方される


漢方薬「四物湯」を

薬膳スープに仕立てるお話しです。





2 年前の春に

薬用植物園で野外観察していた折


「四物湯」(しもつとう)というワードが


豆知識的看板に

掲げられていたのを読んで以来


ずっと、


「四物湯」という言葉が

頭から離れませんでした。



四物湯って何かというと

詳しくは以下の記事から

ご覧いただけます。




これは私自身が書いた記事ですが

今一度、再読してみると..


生薬とお肉を煮る時間について

論文へのリンクが貼られていて

(自分で貼ったのに忘れていました)


新たな発見があったのが驚きでした。





さて、


その「四物湯」ですが、


去年通っていた中医学の学校で


薬膳実習の際に

実際に調理する機会に恵まれました。


羊肉を使った四物湯で

冬の薬膳として紹介されました。


記事は下記のリンクからご覧ください。




冬の薬膳
真ん中が四物湯です


復習のため今一度

テキストを開いてみました。


四物湯に使われる中薬(生薬)は

上記にあるリンク先にも書いたように


当帰(とうき)

芍薬(しゃくやく)

地黄(じおう)

川芎(せんきゅう)


こちらの 4 種類の薬用植物から


根っこや根茎など

生薬として使われる部位を用います。


特に、地黄は


酒で蒸して晒すを 9 回繰り返し熟成させた

真っ黒な熟地黄を使います。




下の写真は


薬用植物園で野外観察した時の

生薬の様子です。



当帰の葉
当帰の葉

当帰の花
繊細な美しさ、当帰の花、春の様子

芍薬
春の様子、芍薬

地黄の葉
地黄の葉

アカヤジオウの花
春の様子、地黄の花

川芎の葉
川芎の葉



川芎の花の写真はありませんが


セリ科らしい

小さな白い花を点々とつけます。




これらの中薬(生薬)は


血を補って身体を滋養したり

血行を良くすることで


女子にありがちな

月もののトラブルの対処に使われます。


植物園内にあった看板には

次のようにも書かれていました。


四物湯は、男性でも皮膚がカサカサしたり手足が冷えてしびれたりする「血虚」という症状があれば用いられる漢方薬です。


ここで、


漢方薬とか薬膳とか出てきて

頭が混乱しませんか?


漢方薬の漢方は

中国医学が大陸から伝わった後

日本で独自に発展してきたものです。


漢方薬は漢方の考え方で処方したお薬で

薬用植物の薬効のある部位を採取した生薬を

幾つかブレンドしたものです。


薬膳はその漢方薬をヒントに

中薬(生薬)を組み立てて

レシピを作ったりする食事療法です。


どちらも大元は

中国医学(中医学)を基にした対処法です。



四物湯も葛根湯のように

漢方薬ですが


構成中薬(生薬)を

薬膳スープに仕立てることもできるのです。


中薬というのは

中医学で用いられる生薬のことです。


植物性由来のものばかりでなく


スッポンの甲羅など動物性のものや

岩石、貝殻から来るものもあります。


ちなみに


四物湯の湯は「タン」という発音で

スープのことです。


葛根湯も同じです。


葛根湯にはいつも

お世話になりっぱなしですが


なるべく錠剤でなく

粉末を熱々のお湯に溶いて

服用するようにしています。


身体がポカポカと芯から温まるので

今度ぜひやってみてください。







ところで、


話は変わりますが、


今年の冬は全国半端ない降雪量で

関東地方もかなり寒いですよね。


レッグウォーマーで

足・脚を冷やさないようにしたり


ハイネックで首元を温めたり


いろいろ工夫しながら

暖かく暮らしていますが


最近、


両腕にしびれを覚えていました。


家族に話すと


「肩こりある?」と言われて


確かに、コリコリに凝っているし


血行が悪いのかもしれないなぁと

思っていたところ


今回、


以前書いた記事を見返したりして


男性にも用いられる四物湯のところに

手足のしびれに着目した次第です。


先日、鏡に向かって

あっかんべーした時に

妙に白かったのに驚きましたが


案外、私自身血の気が

足りていないのかもしれませんね。


女性はそもそも月ものや出産


白い血液と言われる授乳があるために

血液が不足気味です。


なので


「血を補う」ことを

常に意識したいものです。





折よく、


中薬(生薬)は


昨年末に仕込んだ柚子の薬膳茶

サンファ茶作りで仕入れたばかり。


そこで、


薬膳スープ「四物湯」を

在庫のあった鶏肉で作ってみました。



サンファ茶仕込みで


中薬(生薬)を仕入れるお話しは

下の記事をご覧ください。







まず、


四物湯に使う中薬(生薬)を

準備してみました。



四物湯の中薬
四物湯に使う中薬(生薬)


中薬(生薬)に八角も加えました。


中医学の学校で


冬の薬膳として教わった時に

八角と小茴香を使いました。


小茴香(フェンネル)は

炊き込みご飯に使うので


今回は重複するため入れませんでした。


これらのスパイスは

とても身体を温めてくれるものです。






中薬(生薬)は

土鍋が良いと教わっていたので


寒さ募る真冬の夕ご飯でもあるし

お鍋料理で四物湯を作ります。


まず、


中薬(生薬)を煮出して

薬汁を作り準備しました。


薬汁は真っ黒な熟地黄の色合いが

濃厚に反映されて


いかにも薬汁らしい

黒っぽい色合いです。




それから、


いろんな根菜類とキノコ類に


在庫のあった鶏肉などを

手早く下ごしらえしました。




下に写真を並べてみますね。



四物湯
これから火を通すところ

四物湯
根菜類に火が通ったところ

四物湯
お肉と青菜を入れたところ




熱々のお鍋を取り囲む夕ご飯は

どこか生薬の香りが漂う空間。


その香りには甘さが加わって

徐々に変化するのが面白い。




=薬膳スープ「四物湯」を作るのだ=



終始、


その事だけを念頭に置いて

厨房に立っていたので


気張っていたためか

調味料を入れることを

すっかり忘れていました。


でも、


鶏肉にもみ込んだ塩麹と

中薬(生薬)と

野菜の旨味だけで


なかなかいけるお鍋でした。





家族もどこか面白そうな表情で

具材をつついていたので


薬膳スープ「四物湯」は

週一くらい食卓に登場するかもしれません。


今度は、羊肉を仕入れてきますよ。




ちなみに、


羊肉は身体をうんと

温めてくれる食材です。


モンゴルや中国など

大陸あたりで


羊肉を頬張る食文化を

起源としているのでしょう。


北海道などでも

ジンギスカンがよくありますよね。






中医学では、


冬は活発な活動は控え

春を待ちながら

しっかり養生すべし


というような教えがあります。


ふーふー熱々の

四物湯などいただきながら


足りないものを足し

気血の流れを良くして

心とカラダを整えながら


寒さに耐え忍びつつ

暖かな春を待ちわびましょうか。





冒頭で


生薬とお肉を煮る時間について

論文へのリンクのことを書きましたが


台湾で日常的に作られている

薬膳スープ「四物湯」の煮込み時間が


大抵 1 時間であり


それは中薬(生薬)の効果が

得られる時間として


妥当であると書かれています。


中薬(生薬)の効能が気になる方は


煮出した薬汁を使うのではなく


野菜や肉と一緒に中薬(生薬)を

煮るのが良さそうですね。







今日は、


薬膳スープ「四物湯」について

気ままに綴りました。







お日さまと土と風と水を感じながら

植物とともにある暮らしに癒されて


ありのままでいられる暮らし


起糸でした。


バイバイ。



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