こんにちは
心とカラダを整える
ハーバルセラピストのたかこです。
今日は、
柚子の薬膳茶を
仕込むお話しです。
・柚子の薬膳茶の仕込み
・柚子のシロップ
・柚子の葉と種のこと
中医学の学校で
薬膳茶に触れるようになり
2 年ほど過ぎました。
日々欠かせないお茶で
体調管理している私は
ハーブや中薬(日本で言うところの生薬)を
その日の体調に合わせて選び
ブレンドします。
そして
煮出すのに使うケトルや
その日の気分でチョイスしたマグカップ
コトコト煎じる時間までも
いそいそと楽しむ毎日を送っています。
中医学の学校で
薬膳を学ぶ前に
お茶の本を一冊買い求めました。
「季節に寄り添う韓国茶
心と身体を癒す花茶と薬草茶、そして菓子」
コウ静子著
その書籍の中には
馴染みのある植物だけでなく
韓国伝統茶や菓子という
知らない世界も垣間見られ
胸がときめいたのを覚えています。
コウ静子さんと言えば
料理研究家ですが
数年前にインスタでお見かけした際
クリスマス料理の
開催案内が出されていて
ちょうど募集している時でした。
記載されていたメールアドレスへ
応募したところ
タイミングが良かったのか
参加することができました。
しかし、
歯医者で抜歯予定が入り
やむなくキャンセルしたことがあります。
そんな思い出とともに
いつしか
彼女の素敵な書籍は
本棚の合間に挟まれ
そのままになっていました。
今年の晩秋に中医薬膳師になり
身辺が整理されてくると
少し時間ができたので
今一度、本の合間に眠っていた
コウ静子さんのその書籍を取り出し
ページに目を落としてみました。
すると、
以前は全くアンテナに
引っ掛からなかった言葉に
反応している自分がいました。
その言葉というのが
中医学に関連するワードでした。
気血を補う
陰陽のバランスを整える
黄耆(おうぎ)や川芎(せんきゅう)など
もろもろの中薬(生薬)の名前に
懐かしさを覚えたのです。
中医学や薬膳を学んでいた時の
先生方の声や表情
教室の空気や
クラスメートの気配が
思い出された訳です。
そして、その言葉の意味が
その本を初めて手にした時は
未知の世界だったのに
今では
手に取るように分かる
自分がいることに驚きました。
そうしたレシピを作るのは
コウ静子さんご自身も
国際中医薬膳師だからです。
ところで、
自宅にある小さなベランダで
いろんな植物を育てているのですが
そのひとつにゆずがあります。
今年は柚子が大きくたくさん
成ってくれたので
ゆず茶にして
ドリンクやサラダ
ヨーグルトの
トッピングに使っています。
先日は
コウ静子さんのその書籍にあった
チョコレートケーキに
たんかん(オレンジ)の代用にと
ゆずを使ったところでした。
ほろ苦く濃厚な味わい
チョコレートケーキは
柚子のシトラスと相まって
グルメな家族にとても好評でした。
気を良くした私は
他にも何か作れないかと
ページをめくると
柚子を使った薬膳茶が出てきました。
ベランダでは
柚子はまだまだ木になっていて
今も出番を待っているところ。
柚子の中に中薬(生薬)を詰める
写真が目に止まりました。
中薬(生薬)は
中医学の学校で
いろいろ買い求めてあったので
多くは在庫がありそうです。
柚子の中身をくり抜いて
中薬を詰め
ぶら下げて乾燥を待つ
柚子の薬膳茶は
サンファ茶と言うことを
知りました。
サンファ茶..
素敵な発音です。
新たな薬膳茶に興味津々の私は
今なら旬の柚子で作れそうだと思い
レシピにあった作りやすい分量の
柚子 6 個を収穫してきました。
かごに入れた柚子は
部屋の中でほのかに芳香を放ち
フレッシュさを
アピールしている様子。
そこに居るだけで
気分が良くなりました。
ところで、
中に詰める中薬(生薬)は
レシピに 9 種類ありました。
なつめ
桂皮
黄耆(おうぎ)
川芎(せんきゅう)
当帰(とうき)
芍薬(しゃくやく)
熟地黄(じゅくじおう)
竜眼肉(りゅうがんにく)
甘草(かんぞう)
サンファ茶は「雙和茶」と書くようです。
「雙」は「双」とも書くようで
意味はふたつで一対になるもの。
「和」は調和の和です。
サンファ茶は
気血や陰陽のバランスを
整えてくれる薬膳茶だそうです。
確かに中薬(生薬)を見ると
なつめ・黄耆
当帰・芍薬など
気血を補うものが目を引きます。
中薬(生薬)の在庫を
チェックしてみました。
桂皮はシナモンスティックで
代用することにします。
なつめ、黄耆、川芎
当帰の在庫がありませんでした。
なつめと黄耆は
自宅でもよく使っていました。
それで
黄耆などは中医学の学校で
何度も購入していました。
芍薬には白と赤があり
血を補う場合は
婦人系トラブルに用いられる
白芍薬を使うので
今回は手持ちがあるようです。
竜眼肉は
その名前だけでも驚きですよね?
竜眼肉となつめの薬膳茶を淹れて
家族で楽しんだことがあります。
甘くこくみのあるお茶で
お湯に浸かった竜眼肉は
本当に龍の目玉のような格好でした。
ライチという果実の仲間だそうで
その薬膳茶は飲むだけでなく
果実もいただける美味しいお茶でした。
さて、
足りない中薬(生薬)が
4 種類ありました。
折よく
休日の買い出しのついでに
夫に相談してみると
すぐ近くで漢方薬局が
開いているとのこと。
夫と一緒に
その漢方薬局に行ってみました。
漢方薬局に足を踏み入れたのは
実は、生まれて初めてでした。
中医学の学校で
中薬は漢方薬局で
手に入ることを
教えられていたのですが
費用がどれだけかかるのか
不透明な部分もあり
なかなかどうして
手足が動かせなかったのです。
誰かと一緒だと
はじめの一歩が
簡単に出せますね。
さて、
漢方薬局では
さまざまな生薬の標本あり
生薬を扱うときの道具あり
知らない漢方薬あり
耳目を働かせて
とても楽しく時間を過ごせました。
初回ではうろ覚えの 3 種類
なつめ、黄耆、川芎を購入し
その後、当帰を買いました。
手はずが整い
とうとう柚子の薬膳茶
サンファ茶の仕込みです。
まず、
柚子のふたになる
部分をカットして
中身をくり抜かなければなりません。
試しに 2 個だけ
前日にやってみました。
平たい計量スプーンを使ったら
難なく中身が取り出せました。
2 個分の柚子の中身は
その晩の鍋料理に使いました。
とうとう、本番です。
プレートに中薬(生薬)を
計量して並べました。
そして、
残りの柚子の中身を
くり抜いていきました。
なつめ以外の中薬(生薬)を
プレートの上で
まんべんなく混ぜ合わせ
くり抜いた柚子の茶碗に
等分して入れていきました。
書籍の中では
なつめは 2 個ずつ
入れていくようでしたが
買い求めたなつめは
とても立派で大きく
入り切らないので
1 個ずつにしました。
それでも、
ふたが閉まりそうもないので
3 つに切り分けて
一番上に置きました。
最後に
柚子のふたをしました。
ここまではとても簡単。
問題はここからです。
たこ糸で柚子の詰め合わせを
1 個ずつ結んでいきますが
最後に天井からぶらさげていく仕様で
書籍では美しい亀甲結びが
解説されていました。
解説のとおり
何度もトライしたのですが
すぐにもほどけてしまい
仕舞いには
編み物のかぎ針を
取り出して使うほど
なんだか難しい..
ほどける度に
最初からやり直すのを
何度もやっていると
とうとう
「できなーい !!」
「もうっ!できないっ !!」
「できなーい !!」
「できなーい !!」
大声で連発していました。
すると、
「さっきから何を騒いでいるの?」
と、子どもがやってきて
ほとんど全部の
たこ糸始末をやってくれました。
けれども
横から悪かったけれども
随分と爆笑してしまいました。
しかし、
ありがたいものです。
母はちゃんと結ぶことも
できずにいたのに
子どもはしっかりと
結んでくれたのだから。
要は、
天井からぶら下げて
乾燥して柚子が縮んでも
たこ糸の中から
中身が落ちてこなければいいんです。
たこ糸で結び終わった
柚子の詰め合わせは
一度火を通します。
「蒸して炒る」をしました。
すると、
堅かった柚子は柔らかく
見た目も優しい印象に。
中身の中薬(生薬)の香りが
柚子の香りと相まって
甘やかな芳香を形成しています。
それを天井にぶら下げました。
書籍では木蓮の枝に
ぶら下げるとありましたが
この家には木蓮が植わっていません。
(今はなき昔々、大昔の実家にはありました!)
仕方がないので
収穫したハーブや
出来上がった石鹸を
乾燥させる網棚に
時間をかけて
1 個ずつたこ糸で
ぶら下げていきました。
その網棚は
2 階の天井に
最も近い場所にあり
梅雨の時期でも
ハーブがからりと
乾燥する場所なので
サンファ茶の素
柚子の詰め合わせも
きっとうまく乾燥させて
くれるに違いありません。
この場所を通り過ぎるたび
甘やかなサンファ茶が香ります。
翌日には
柚子の皮がところどころ
黒ずんできました。
何か病んでいるような様子に
少し不安になりましたが
書籍には真っ黒な
柚子の写真があるので
次第に全体が黒ずんでくるのでしょう。
1 ヶ月後から楽しめるとありますが
半年後、1 年後には熟成された
薬膳茶になるようです。
月を追って飲み比べしてみたいですね。
気血を補う中薬(生薬)が
詰まったサンファ茶は
月もののある女系家族には
ピッタリだと思います。
気血を補うだけでなく
気持ちもおだやかに
整えてくれるでしょう。
さて、
くり抜いた柚子の中身ですが
前日にくり抜きを試した時は
夕ご飯の鍋に入れました。
残りの 4 個分の柚子は
シロップにしてみました。
サワー割りにすると
芳醇な香りと
あまりの美味しさに
病みつきになりそうでした。
お酒に弱い体質の私は
翌朝、頭痛がしましたが..
大抵はお茶に大さじ 1 ほど
加えていただています。
ところで、
柚子の葉っぱと種ですが
捨てずに大切にとっておきます。
良い香りのする葉っぱは
各種ハーブと一緒に
入浴剤にしますし
種はジャム作りや
ローション作りに使います。
こんな風に、
自ら丹精込めて
育てている植物の果実を使い
大好きな薬膳茶に仕立てた行程は
充実感に満ち満ちたもので
薬膳を半ば習得したことで
ボタニカルライフも
本格的になってきたのを感じています。
今日は、
韓国伝統茶のひとつ
柚子の薬膳茶である
サンファ茶を仕込むお話でした。
・柚子の薬膳茶の仕込み
・柚子のシロップ
・柚子の葉と種のこと
柚子は日本古来の柑橘であり
私たち日本の文化や暮らしの
あちこちに根付いた果樹です。
その柚子をお隣の国
韓国バージョンで
薬膳茶として仕込んでみたお話しでした。
薬用植物園での野外観察が高じて
はじまった東洋医学の学びは
ただ今、
中医学として深めている最中ですが
この数年に
植物自体の花や葉の形態、
季節の流れの中でのその移りゆく様
そして
中薬(生薬)としての使い方、使われ方
これらの学びがあったからこそ
サンファ茶の仕込みに
深く有意義さを感じた次第です。
ますます
自分の手で掴み取った知識を
もっと活用してみたい
気持ちが高まりました。
また、
新年が明けたら
月を追って薬用植物の
野外観察をしに
植物園へ再び出かけようと思いました。
お日さまと土と風と水を感じながら
植物とともにある暮らしに癒されて
ありのままでいられる暮らし
起糸でした。
バイバイ。