こんにちは
心とカラダを整える
ハーバルセラピストのたかこです。
今日は、毎月通っている
東京都薬用植物園の冬の様子を
お伝えしていきます。
今年の 2 月から始まった
野外観察はもうすぐ 1 年を迎えます。
毎月一度は必ず植物園まで足を運び
ひとつひとつ丹念に
観察を続けてきました。
その甲斐あってか、
薬用植物というレアな領域で
興味・関心の矛先は
アロマやハーブ、占星術から
中医学や漢方へと徐々に移行し
知識が深まるとともに
一見異なっているように見える
ジャンルのつながりを探索し
自分なりの解釈を模索しています。
さて、12 月中旬の園内の様子は
すでに、植物たちの繁栄は終了し
多くの植物たちは刈り取られ
地ならしされた土が
露出している状態が多く見られました。
2 月に初めて訪れた時と
同じような状況に近いと言えます。
真冬といえども、
木々は紅葉、黄葉したなかで
太陽の光が
葉脈を透けて浮かび上がらせ
植物たちは美しく輝いていました。
徐々に落葉し
閑散とした風情を漂わせるでしょう。
そして、
晩秋の名残りが
成熟した果実となって
たわわに実っている様は圧巻でした。
よく見れば、
春の芽吹きを節々に
あたためているものもあり
植物たちの季節は
すっかり終わったのではなく
準備段階に入った様子を伝えていました。
そして、
寒くなってくると温室は天国です。
温室は 25 度くらいの室温に
保たれている様子。
片端の窓だけが開いていました。
青空に映える紅葉が美しく
暖かな室内から眺められました。
温室内では
時折、不意に出くわす植物があります。
毎回、観察していても
気づかない存在というのもありです。
アカキナノキはそのひとつ。
植物由来医薬品の発見が
世界の歴史を変えた一例として
キナノキについて紹介します。
現代のような合成薬のなかった時代
キナノキは抗マラリア薬として
珍重されてきた歴史があります。
マラリアとは
マラリア原虫を持った
蚊に刺されることで感染します。
亜熱帯・熱帯地域を中心に
感染者数が多く
世界的に重要な感染症です。
(国立感染症研究所サイトより)
人々が古来から苦しめられているマラリア(イタリア語で悪い空気という意味の mal aria を語源とする)に有効な化合物キニーネがペルーの不思議な樹キナの皮から得られた。
(薬学生のための天然物化学テキスト 廣川書店より)
アカキナノキについて
東京都薬用植物園から
以下、引用します。
学名は Cinchona succirubra アカネ科の植物です。
生薬名はキナ皮。薬用部分は樹皮。
樹皮や根皮からマラリアの特効薬になるキニーネが採れます。
南アメリカのアンデス山脈北部を原産としています。
19 世紀中頃、オランダがジャワ島の高地で栽培に成功し、今では、世界のキナ皮の 90% がジャワで生産されています。
なぜ、ジャワ島の高地で
キナノキは栽培されていたのでしょうか?
その答えになるものを
世界薬用植物図鑑(原書房)に
見つけることができました。
以下、引用します。
植物の薬効成分は土壌条件や日あたり、水分供給のほかにも非常に多くの環境因子の影響を受けることが知られている。
同じ植物であっても株によってその化学的活性成分が異なる場合もある。
もっとも有名な例が南アメリカ原産のキナノキだ。
その樹皮にふくまれる活性成分であるキニーネは、マラリア治療に利用されていた。
1800 年代まで歴史をさかのぼると、南アメリカに多くの遠征隊が送られ、キナノキの苗を採集してはアジアのさまざまな地域へ導入していた。
ところがアジアで成長したキナノキから樹皮を収穫してみると、キニーネはふくまれていなかった。
それ以降はキニーネがふくまれていることが確かめられた株を採集するようにし、プランテーション経営には、それらを栄養繁殖させた株を利用するようになった。
自然を相手に
一筋縄ではいかなかった歴史が
垣間見れますね。
そんなアカキナノキが
しなやかな小枝の先に
花芽をつけていました。
優雅に花開く時を待ちましょう。
今日は、
12月中旬の東京都薬用植物園から
植物たちの様子をお伝えしました。
・サンシュユ
・ローズヒップ
・アカキナノキ
お日さまと土と風と水を感じながら
植物とともにある暮らしに癒されて
ありのままでいられる暮らし
起糸でした。
バイバイ。
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