こんにちは
心とカラダを整える
ハーバルセラピストのたかこです。
いつだったか、
私が長年大切に世話している
ミニ薔薇の虫除けにと
夫がチャイブの株を
ミニ薔薇の鉢に植え込んでくれました。
今日はそんなチャイブについて
書いていきたいと思います。
長年、いく種類ものミニ薔薇を
大切に育てています。
ミニ薔薇はどんな環境にも順応できる
融通さと頑強さを兼ね備え
美しい花びらのほころぶ彩りは
眺めていて楽しいものです。
以前は、
世話を焼く時間が取れず、
ミニ薔薇の花が終わると
葉っぱを芋虫に食べられ
丸裸になっていました。
そんなミニ薔薇を思ってか
1 〜 2 年前、
夫がミニ薔薇の植木鉢に
チャイブを植え込んでくれました。
チャイブは虫よけになるんだよ。
チャイブって、ほら、
冷たくしたビシソワーズスープの
トッピングにしたりするよね?
そんな去年の会話を思い出します。
私のハーブの学びも深まり
チャイブのお花を使って
桃色のハーブビネガーを
作ってみたいものだと
この頃、夢想するようになりました。
ふと気づけば、ミニ薔薇の植木鉢に
チャイブの姿はなくなっていました。
そうして、
チャイブを思う気持ちが徐々に高まり
思いあまって、リサーチすることになりました。
リサーチし始めると、
まず、古い植物図譜に行き当たりました。
繊細なディテールが美しい
西洋の植物図譜は割と目にしますが
近代日本の植物図譜に興味を持って
記事を読み始めました。
上の写真にある和風の植物図譜は
江戸時代後期、薩摩藩主島津重豪(しげひで)が
農業や医学を振興させる目的で
編纂させた農書、成形図説にありました。
成形図説は百科事典を目指していたそうですが
残念ながら未完に終わり
江戸時代を代表する農書のひとつとなりました。
島津重豪はオランダびいきで
高齢になってから斉彬とともに
出島のオランダ商館医シーボルトと交友しました。
成形図説にもシーボルト蔵本に掲載されている
ニンジンやゴボウの植物図譜があります。
シーボルトは医師ですが、
植物学にも通じていたそうです。
先日、本屋さんを徘徊していたら
シーボルトの本を
手に入れることができました。
店員さんがしおりを
プレゼントしてくれました。。
残念ながら、この本の中に
チャイブはありませんでした。
さて、話がそれました。
先ほどの植物図譜をよく見ると
「細葱」センモト、「胡葱」アサツキと
書かれています。
現在ではセンモトは「千本」
アサツキは「浅葱」と表記されます。
千本わけぎ、センボンワケギとも言われる
わけぎの異名、センモトは九州での呼び名で
大分県ではチモトとも言われるそうですね。
わけぎと浅葱の見分け方は
球根の形状だそうです。
植物図譜を見ると、浅葱に見えなくもない。
成形図説では、
細いネギのようなものとして、
両者を区別していないようです。
わけぎも浅葱も、
和食で薬味として使われている食材ですね。
農書に描かれたセンモトでもあり
アサツキでもある、この植物図譜を、
後年、チャイブとして当てたのでしょう。
以下、東京都薬科大学薬用植物園の
ネームプレートから引用します。
チャイブは和名をエゾネギ
または、セイヨウアサツキで、
学名は Allium schoenoprasum です。
ユリ科の植物です。
アサツキはチャイブの変種。
ニンニク等のネギ属植物と
同種の薬効を示すが
効き目が穏やかであり
主に食用として用いる。
西欧ではキッチンハーブとして栽培され
エディブル(食用)リーフ
エディブルフラワー
薬味として使われてきました。
葉や若い蕾はオムレツや魚料理に使われ
ビシソワーズスープのトッピングになり
花はサラダに飾られました。
玉ねぎをカットする時の
目が痛くなる成分は
ニンニク、ニラの揮発成分でもある
硫化アリル(含硫化合物)です。
硫化アリルには血液凝固を
抑制する働きがあり、
動脈硬化や血栓予防に役立つそうです。
チャイブにもたくさん含まれているため
ネギのような刺激臭がします。
それは硫化アリルの代表格でもある
アリシンによるものです。
ニンニクの匂いでもある
アリシンには強い抗菌、抗真菌作用があります。
そんなところから、
防腐剤的に魚料理に使われるのでしょう。
その香りには食欲がそそられます。
14 世紀、
ヨーロッパで疫病が大流行した際
ロンドンの玉ねぎとニンニクを取り扱う店では
難を逃れたと言われています。
そして、
その揮発成分による刺激臭は菌だけでなく、
虫除けにもつながるようです。
西欧では野菜畑の畝の間にチャイブを植えるそうです。
ここで、余談ですが、
玉ねぎやネギ、ニンニク、ニラに含まれている
アリシンがビタミンB1と結合することで、
腸管からビタミンB1が
吸収されやすくなると言います。
吸収された後、ビタミンB1は
筋肉内に蓄積されて
必要に応じて遊離・再生されます。
ビタミンB1は
糖質を燃やしてエネルギーに変換する時に
補酵素として働きます。
ニンニクや玉ねぎがスタミナにつながると
よく言われますが、
詰まるところ、
疲れやすい時のエネルギー補給に
つながるからなのですね。
確かに、
慢性疲労の回復、筋肉疲労の解消に良いとされています。
玉ねぎの原産地は中央アジアとされ、
古代エジプトに伝わり、
エジプトからヨーロッパ各地へと渡りました。
ピラミッド建設時、
奴隷にニンニク、ダイコン、玉ねぎを
食べさせたと碑文に残されているとか。
ビタミンB1が多く含まれている
玄米や胚芽米でご飯を炊いて
玉ねぎやニンニクと一緒に食べると
良さそうですね。
ちょっと難しくなってしまいましたね。
ビシソワーズスープ のレシピは
リンクをタップしてご覧くださいね。
お日さまと土と風と水を感じながら
植物とともにある暮らしに癒されて
ありのままでいられる暮らし
起糸でした。
バイバイ。
参考文献
・Wikipedia
・薬学生のための天然物化学テキスト 廣川書店
・フィンランド発ヘンリエッタの実践ハーブ療法
・Culpeper's Complete Herbal & English Physician Applewood Books
・北海道医療大学、野菜と果物のお話