こんにちは
心とカラダを整える
ハーバルセラピストのたかこです。
今日は、
東京都薬用植物での
野外観察のお話しです。
・ウンシュウミカン
・クチナシ
・ナツメ
・カキノキ
・ワタ
5 種類の植物について
ご案内していきます。
9 月を半ば過ぎても
猛暑は相変わらす
続いていますが、
植物たちは徐々に
秋の実りを蓄え
少しずつ、
色合いを変えていました。
まず、ウンシュウミカンです。
6 月中旬に膨らみが目立ってきて
上向きに付いていた
ウンシュウミカンは
9 月中旬にもなると
重たく下向きに付いています。
なんとなく色づいてきました。
庭先で簡単に手に入る
ウンシュウミカンは
日本原産の柑橘です。
こたつに山盛りのみかんが
思い浮かべられるように
みかんの香りに
馴染み深い日本人にとって
好きなアロマ(香り)の
ひとつに挙げられるほど
みかんの香りには
国民性が偲ばれます。
(民族が変わると好きな香りは変わります)
時折、
縁側でみかんの皮を干している
家が見受けられますね。
お茶にしていただくこともあります。
ミカンの皮は胃の働きを高める健胃薬。
吐き気を抑え、咳や痰をとり、結構よく肌をつややかにする。
お風呂に入れて入浴剤として使えば、冷え性に効果的
(一汁二菜 境野米子著)
ウンシュウミカンの
成熟したオレンジ色の果皮が
漢方に配合される
チンピ(陳皮)になります。
漢方処方用薬:健胃・鎮静・鎮吐・去痰
(東京都薬用植物園から)
以上からわかることは
ウンシュウミカンは
丸ごと使える美味しい果実ということ。
ノーワックスのみかんが手に入ったら
ぜひ、皮を乾かして
入浴剤に仕立ててみたいです。
カラダを温めてくれそうです。
観察中に、
クチナシの青い実を見つけました。
毎月通っている
薬膳菓子の調理実習では
先日、クチナシを使って
道明寺粉を黄色く染め上げました。
黄色い色素には名前があります。
それはクロシンです。
クチナシの果実に含まれる他に
黄色いサフランライスに使われる
サフランの雌しべにも
クロシンは含まれています。
クロシンは水溶性の
カロテノイド色素です。
簡単に水に溶けることから
お料理に使いやすいんです。
6 月中旬に
濃厚な甘い香りを放っていた
クチナシの花は
9 月中旬に
青く実を結んでいたのを
今回、確認できました。
我が家の庭先で咲く
八重の花では
結実しないんです。
雄しべが花びらに変化した
八重の花からは
クチナシの実は手に入りません。
果実が割れたり裂けたりしないところから「口無し」がその名の由来といわれています。
古くは飛鳥・天平の時代から、布地を黄色く染めたり、栗きんとんやタクアン漬などの色付けに利用されてたりして、私たちの生活になじみ深い有用な植物です。
(東京都薬用植物園から)
お料理や染料以外には
漢方処方用薬としても
クチナシの果実は利用されます。
漢方処方用薬:消炎・清熱・精神安定
(東京都薬用植物園から)
代表的な漢方薬としては、
加味逍遙散
(かみしょうようさん)があります。
クチナシの実の生薬名は
サンシシ(山梔子)です。
サンシシを含む加味逍遙散は
更年期障害など女性ならではの
トラブルに処方されるようですね。
(基本がわかる漢方医学講義 日本漢方医学教育協議会)
クチナシで調理したものを
いただくことで
心とカラダが整えられそうです。
ナツメの赤い実がたくさん
地面の上にごろごろしていました。
上を見上げると
ナツメがたくさん
木になっているのが見られました。
5 - 7 月頃に黄緑色の小さな花をつけます。
果実は球形や長楕円形で、秋に熟して赤黒くなります。
乾燥した果実は食材でもありますが、タイソウ(大棗)という生薬です。
葛根湯や小柴胡湯など主要な漢方処方の構成生薬です。
(東京都薬用植物園から)
月に一度、通っている
中医学の学校で
薬膳に触れるようになると
自然とナツメなどの食材に
注意が向くようになりました。
ナツメ茶というのを
耳にしたことがあります。
日本ではあまり馴染みなく
私などはナツメに触ったことすらありません。
初夏に可愛らしい小さな花が咲き、青い実をつけます。
少しずつ赤みを帯び、秋には深い紅色に変わります。
甘酸っぱい青りんごのような味わいですが、熟すと甘みが強くなります。
なつめは花が咲くと、必ず実をつけることから、子孫繁栄を意味する植物。
その実は韓国では神から与えられた果実として大切にされています。
(季節に寄り添う韓国茶 コウ静子著)
中医学は中国から各地方へ渡って
辿り着いた先の風土や環境
民族の体質、気質に合わせて
様々に形を変えてきたそうです。
例えば、
韓国では韓医学になり
日本では日本漢方医学になりました。
上記で紹介したなつめのお話しは
ナツメ茶へと引導を渡されます。
ナツメ自体に甘みがあることから
水でことことと煮込むだけで
ナツメ茶ができるそうで
秋の深まる頃合いに
カラダを温めるお茶として
いただいてみたいなぁと夢想しています。
季節に合った食材というのは
その季節の旬のものということが
ナツメの話しからも分かりますね。
カキノキに柿の実が
たわわに実っていました。
陽の当たる柿の実ほど
色合いが変わりかけていました。
カキノキは栽培種。日本に自生するヤマガキが栽培化されたといわれる。
(東京都薬用植物園から)
カキノキも植物全体が利用されます。
葉っぱをお茶にして
楽しむ方法がありますよ。
大量のビタミンCを含み、免疫力を高める。
とくに若葉がよい。
高血圧症、動脈硬化症、成人病予防に( 6 - 9 月の葉がよい)
(一汁二菜 境野米子著)
子どもの頃、
食べた柿から出たタネを
自宅の庭先に指でぐっと押し込んだところ
芽が萌え出て、
やがて樹木になりました。
そんな風に、
庭先で簡単に栽培することができます。
果実や葉っぱを
手軽に日常に取り入れて
賢く体調管理できたら良いですよね。
最後に、ワタを紹介します。
花屋の店先でクリスマスごろに
ワタのついた枝が売られているのを
よく目にします。
季節のデコレーションに
使われるのでしょう。
暑くなってくると、
植物園内のアオイ科の花が
いっせいに咲き出します。
ワタの花もそのひとつです。
ワタの仲間も多くあるようです。
同じような白いワタの
リクチメンは世界で最も
作付け面積の多い種類だとか。
白いワタだけでなく
茶色いワタのナンキンワタ
(茶綿)もありました。
9 月には
白くワタをつけ始めました。
ふかふかして種子の毛を
繊維として用いるそうです。
繊維は短いですが強度があり、布団の綿などに向いています。
(東京都薬用植物園から)
実りの秋は
園内にたくさんの収穫物に
あふれていました。
今日は、初秋シリーズとして
・ウンシュウミカン
・クチナシ
・ナツメ
・カキノキ
・ワタ
5 種類の植物を紹介しました。
次回も東京都薬用植物園から
初秋シリーズをお届けします。
お楽しみに!
お日さまと土と風と水を感じながら
植物とともにある暮らしに癒されて
ありのままでいられる暮らし
起糸でした。
バイバイ。